和牛は、その芳醇な香りと口の中で溶け出す脂肪によるおいしさで、全世界にその名を知られています。美しい霜降り肉は、見栄えが良く、焼くと肉から溢れ出す上品な味わいです。

しかし「和牛は脂が多すぎて食べきれない」と、感じることはありませんか?

和牛にはA5ランクからC1ランクまでの等級があり、これは肉の質と脂肪の割合を示しています。最高品質のA5ランクは、豊富な脂によって深みのある風味と焼くと漂う甘い香りの持ち主ですが、同時に「脂が多すぎる」と感じる方も少なくないでしょう。

ふみ
ふみ

そこで本記事では、そんな和牛の脂が多すぎると感じる方のために、脂が多い和牛のおいしい食べ方をご紹介します。

この記事を読めば「和牛は脂が多すぎて、気持ち悪くなる」という悩みから解放されるでしょう。

「おいしい和牛を楽しみたいけど、ちょっと脂が…」と考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

なぜ和牛の脂は多すぎるのか

和牛の脂が多すぎる理由は、霜降りで高値になるかどうかが決まってしまうためです。霜降りがきめ細かいほど高値で取引されるため、生産者は霜降りが入った牛を育てます。

例えば以下の画像のような和牛はA5ランクといわれ、高値で取引されています。

このような和牛は霜降りがきめ細かく入っていて、見栄えは美しいです。しかし食べると脂が多すぎて、胃もたれを起こしてしまう可能性が高いです。

現在日本で飼育されている和牛は以下の4品種に分けられていますが

  • 黒毛和種
  • 褐毛和種
  • 日本短角種
  • 無角和種

90%以上を黒毛和種が占めています。その理由は黒毛和種が最も霜降りが入りやすく、高値で取引されるためです。日本では脂を豊富に含んだ和牛が出回ることが多く、溶けるような味わいと風味が絶品といわれます。

しかし脂が苦手な人にとっては、気持ち悪くなったり、胃もたれしたりしておいしいと感じない方もいらっしゃるでしょう。そこで次の章では、脂が多すぎる和牛をおいしく食べる方法を紹介します。

脂が多すぎる和牛を美味しく食べる方法4選

先ほどは、和牛の脂がなぜ多すぎるのかについて解説しました。しかし脂が多い和牛でも、工夫次第でおいしく食べられます。

そこでここでは、脂が多すぎる和牛を美味しく食べる方法を4つ紹介します。

  1. すき焼きやしゃぶしゃぶにして食べる
  2. 網焼きで食べる
  3. さっぱりした調味料を使う
  4. 雌牛を選ぶ

1. すき焼きやしゃぶしゃぶにして食べる

脂が多い和牛をおいしく味わう方法として、すき焼きやしゃぶしゃぶにして食べるという選択があります。これらの料理法で食べれば、肉の脂が落ちて食べやすくなるでしょう。

また瞬時に火が通ることで、脂が溶け出し、他の食材にも旨味や風味が広がります。和牛の深い味わいとともに他の食材にも旨味が染み込むので、脂が多い和牛におすすめな調理法です。

2. 網焼きで食べる

和牛の脂は、網焼きによって脂が落ちて食べやすくなるでしょう。網の上で肉を焼くことにより、適度な熱が加わり、脂肪が溶け出します。すると外側がカリッと香ばしく、内側はジューシーに仕上がります。

ただし、焼きすぎに注意しましょう。網焼きはホットプレートやフライパンのように火力の調整が難しいので、焦がしやすいです。肉にちょうど良い焦げ目がついたらすぐに取り出すようにしましょう。

焼肉やステーキを焼く際は、ぜひ試してみてください。

3. さっぱりした調味料を使う

和牛の脂が多すぎると感じる場合は、さっぱりとした調味料の使用をおすすめします。例えば、以下のような調味料がおすすめです。

  • 柑橘系の醤油だれ
  • わさび
  • わさび醤油
  • 柚子胡椒

これらの調味料を使えば、脂っこさを抑えつつ、肉の風味を引き立てられるでしょう。和牛の旨味を最大限に引き出しつつ、脂で胃が重たくなったり、気持ち悪くなったりするのを防げます。

焼肉のタレや塩コショウではなく、さっぱりした調味料をぜひ試してみてください。

4. 雌牛を選ぶ

脂を落としたり、調味料を使ったりしても、脂が多すぎると感じる場合は、雌牛(メス)を選ぶと良いでしょう。なぜなら私自身が雌牛のさっぱりした食べやすい肉質に感動したためです。

私は全国のブランド牛を食べるべく、毎月和牛をお取り寄せしています。(お取り寄せしている記事はこちら

その中で食べた雌牛のサーロインステーキに衝撃を受けました。最後まで胃もたれなく食べきることができたのです。個人差があるので、絶対に胃もたれしないとは言い切れないですが、ぜひ一度雌牛を試してみてください。

口の中でとろけるように消える食感と、しつこくないさっぱりした脂は絶品です。

以下の記事で私が衝撃を受けた雌牛のサーロインステーキを紹介しています。ぜひ一度のぞいてみてください。

脂が少ないおすすめの赤身の部位を4つ紹介

脂が多い部位を美味しく食べる方法を解説しましたが「食べ方を工夫するのが面倒だから、脂が少ない部位を食べたい」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、精肉店で働く私がおすすめする脂が少ない赤身の部位を4つ紹介します。

  1. 内モモ
  2. カタ
  3. ミスジ
  4. イチボ

1. 内モモ

内モモは赤身の中でも、筋肉質で脂肪が少ない部位なので、歯ごたえのある食感と淡白な味わいが特徴です。脂が少なく、食べやすい内モモは霜降りが苦手な方にはぴったり。

すっきりしている後味でくどさを感じないので、さっぱりいただけます。

ステーキやローストビーフなど、熱をしっかり通す料理に適しており、和牛の素材感を存分に楽しめます。硬さが気になる人は、薄切りにして食べるのがオススメです。

A5ランクの和牛になれば、さっぱりした味わいの中に、脂の甘みも感じられるでしょう。

2. カタ

肩(カタ)は和牛でも脂肪が少なめで、しっかりとした歯ごたえと深い味わいが魅力の部位です。赤身が多く肉質はやや硬めですが、エキス分やコラーゲンが豊富で味は濃厚です。

焼肉やすき焼き、しゃぶしゃぶなど、さまざまな調理法に適しています。和牛の風味を感じつつ、さっぱりとした食感を楽しめるでしょう。

3. ミスジ

ミスジは、先ほど紹介したカタの希少部位です。サシが多い見た目に反して、味わいはさっぱりとしており、赤身のコクや風味を感じられる部位です。肉質は非常に柔らかく、赤身でもとろけるような食感が楽しめます。

深い旨味が魅力で、飽きのこない味わいが特徴です。ステーキや焼肉のように厚切りで食べると、柔らかい肉質と脂の甘みを堪能できます。

4. イチボ

イチボはサーロインから繋がっているランプの希少部位です。濃厚な風味と赤身のコクで深みのある味わいを堪能できます。程よく脂肪が入った肉々しい赤身と、深みのある味わいが特徴です。

焼肉やステーキにして、肉の旨みを存分に味わうのがオススメです。

脂が多い和牛を食べる前に知っておいてほしい2つのこと

おすすめの赤身部位を紹介しましたが「霜降りをおいしくいただいてみたい」そんな方もいるはずです。そこでここでは、脂が多い和牛を食べる前に知っておいてほしいことを2つお伝えします。

  1. 脂が苦手な人はA5ランクの霜降りは避けたほうがいい
  2. オス牛よりメス牛のほうが脂がさっぱりしている

1. 脂が苦手な人はA5ランクの霜降りは避けたほうがいい

脂がどうしても苦手な人は、A5ランクの霜降り和牛は避けたほうがいいでしょう

和牛に含まれる豊富な脂がとろけるような食感と、焼いたときの甘い香りを生み出しています。その中でも「A5ランク」の和牛は特に脂が多いです。牛の格付けの中では最高の評価であり、その脂は細やかな霜降りとして肉全体に均一に入っています。

しかしこの霜降りの多さが、脂が苦手な人にとっては、少々過剰に感じられるかもしれません。そのため、和牛の霜降り肉(ロースやバラ)を選ぶ際は、「A5ランクだから」という理由で選ばないようにしてください。

A5ランクはあくまで見た目の評価なので、必ずしもおいしいとは限りません。特に脂が苦手な場合はA5ランクの霜降りを避け、脂の少ない赤身を選ぶと良いでしょう。

おいしく食べる方法を実践しても、脂がきつい場合もあるため、A5ランクの霜降りは避けたほうが無難です。

2. オス牛よりメス牛のほうが脂がさっぱりしている

脂が苦手な人、あるいはさっぱりとした味わいを好む人は、雌牛を選ぶと良いでしょう。雌牛は雄牛よりも、脂がさっぱりしており、霜降り肉でも食べやすいです。ブランド和牛の中には

のように、雌牛限定の和牛も存在します。これらの和牛を頼めば必ず雌牛が届きます。

霜降り肉をおいしくいただきたい」「胃もたれしない和牛を味わいたい」そんな方は、ぜひ一度雌牛を食べてみてください。個人差があるので絶対とは言い切れませんが、私は衝撃を受けるほど、食べやすいと感じました。

以下の記事では雌牛の魅力について詳しく解説しています。ぜひ一度のぞいてみてください。

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