「メスの牛がおいしいって聞いたけど本当?」
「メス牛はなんでオス牛よりおいしいの?」
「メス牛とオス牛の見分け方があるなら教えて」
こんな悩みを抱えていませんか?
わたしは現在精肉店で働きながら「全国のブランド和牛を食べてみたい」という想いのもと、毎月ブランド和牛をお取り寄せしています。
わたしが初めて「オス牛よりメス牛のほうがおいしい」という話を耳にしたときに「性別でそこまで味は変わらない」と、考えていました。
しかし全国のブランド和牛を食べていく中でわかったのは、性別で肉質や味わいが大きく変わるということ。
わたしは「メス牛はオス牛よりおいしい」という結論を出しました。
そこでこの記事では、メス牛がおいしいといわれる理由を、わたしが食べてみて感じたことを踏まえながら解説します。
オス牛とメス牛の見分け方も紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
メス牛がおいしいといわれる3つの理由
ここでは、なぜメス牛がおいしいといわれているのか理由を解説します。
メス牛がおいしいといわれる理由は、以下の3つです。
- 肉質がキメ細かくて柔らかい
- 不飽和脂肪酸が多く含まれている
- 脂がさっぱりしていて食べやすい
オス牛よりもメス牛のほうが優れている点を、ピックアップしています。
肉質がキメ細かくて柔らかい
メス牛はオス牛に比べて、肉質がキメ細かくて柔らかいのが特徴です。
肉質がキメ細かいとは、表面に脂がキメ細かく入っている状態をいいます。
たとえば、以下の2枚の牛肉を見比べたときに、下にある牛肉のほうが表面の脂がキメ細かいです。
このような状態を、肉質がキメ細かいと表現します。
口の中で溶けるような食感は、オス牛を食べたときでも感じますが、なめらかな舌触りに関しては、メス牛のほうが優れています。
加熱したときに脂が溶け出し、とろけるような味わいは、メス牛ならではの特徴です。
不飽和脂肪酸が豊富に含まれている
メス牛の脂には、とろけるような食感に関係している不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
不飽和脂肪酸とは、植物や魚、肉などに多く含まれる脂のこと。
融点(脂が溶け出す温度)が低いのが特徴で、豊富に含まれていると、口当たりが良くとろけるような食感となります。
メス牛の豊富な不飽和脂肪酸については、松阪牛が証明してくれています。メス牛しかブランド牛として認めない松阪牛は、一般的な和牛よりも、さらに豊富な不飽和脂肪酸を含んでいるという研究結果が出ています。
参考:松阪牛協議会
また不飽和脂肪酸は、抗酸化作用があるため、生活習慣の予防効果が期待されている脂です。
和牛は脂が多いため、健康的な食材として紹介されることはありません。
しかし不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるメス牛は、健康に配慮された牛でもあります。
脂がさっぱりしていて食べやすい
わたしはさっぱりとした脂で食べやすいところが、メス牛最大の特徴だと考えています。
なぜなら、メス牛のロースを食べたときに「今までなんでこんなにおいしい肉を避けてたんだろう」と後悔したためです。
脂の多いロースを避けていたわたしにとって「こんなに食べやすくておいしいロースはあるのか」と、衝撃でした。
わたしが感動したメス牛のロースは、以下の記事で紹介しています。
→【9割の人が知らないブランド牛】精肉店で働く人がいずみ華姫牛を徹底レビュー!
「和牛の脂が苦手」「脂の多い部位は食べたくない」そんな方に、一度メス牛を味わっていただきたいです。
脂のしつこさがなく、なめらかな舌触りに感動します。
以下の記事では、メス牛限定である松阪牛を紹介しています。メス牛に興味を持たれた方は、ぜひ一度のぞいてみてください。
→【松阪牛一頭買いのお店】田中精肉店三代目”アトツギ娘”が捌く松阪牛を買ってみた!
→【極上の霜降り】特選松阪牛専門店やまとの肩ロースすき焼きを徹底レビュー!
牛には去勢牛とメス牛がいる
牛にはメス牛だけでなく「去勢牛」と呼ばれるオス牛も肥育されています。
オス牛は男性ホルモンを排除して女性化させたほうが、おいしくなるからという理由で、生後3〜4ヶ月経つと去勢されます。
個人的にはたくさんの人にメス牛を食べてほしいのですが、市場に出回る牛はオス牛が圧倒的に多いです。
市場での牛の価格は、基本的に「重量×単価」で決まるため、大きく育てたほうが肥育農家は儲かります。
経営していくには、儲けを出さなければならないため、体が大きいオス牛を育てる農家が多いのが現状です。
しかし重量で肉のおいしさは決まりません。味で選ぶなら、メス牛を選びましょう。
メス牛の中でも未経産を選ぶ
メス牛ならなんでもいいかといわれると、そうではありません。メス牛の中にも以下の2種類がいます。
- 出産を経験していない未経産牛
- 出産を経験している経産牛
おいしいのは、出産を経験していない未経産牛です。経産牛は、出産するときに体力を使うため、肉質が著しく落ちてしまいます。
未経産牛の特徴がとろけるような食感なら、経産牛は脂肪が少なく赤身が強い肉質です。
和牛の柔らかい食感と、甘みのある脂を味わいたいなら、未経産のメス牛を選びましょう。
去勢牛とメス牛を明確に見分ける2つの方法
肉業界では去勢の牛は色が薄くて、メス牛は色が濃いといわれています。
メス牛を食べるためには色が濃い肉を選べればいいのですが、そう単純な話でもありません。牛一頭一頭には個体差があり、肉質や色が毎回違います。
そのため見た目だけで去勢牛とメス牛を見分けるのは、非常に難しいです。
そこでここでは、去勢牛とメス牛を明確に見分ける2つの方法を紹介します。
- 個体識別番号を調べる
- メス牛限定のブランド和牛を選ぶ
牛肉を選ぶ際の、参考にしてください。
個体識別番号を調べる
国内産の牛肉を販売する際に、必ず記載しなければならない個体識別番号を調べれば、牛の性別がわかります。
個体識別番号とは、商品のラベルに記載してある以下のような10桁の番号のことです。
以下のサイトから個体識別番号を調べることが可能です。
調べると以下のように表示されます。
去勢(雄)と表示されていれば、去勢牛で「雌」と記載されていればメス牛です。
国内産の牛肉には必ず記載されているので、売っている和牛の個体識別番号を調べてみてください。
もし販売されている和牛に、個体識別番号が記載されていなかった場合は、買うのを避けましょう。
お店側が表示を忘れている場合もありますが、和牛だと確証ができません。
和牛ではなく、国産牛や輸入牛の可能性もあります。個体識別番号の表示がされている、安心安全な和牛を選んでください。
メス牛限定のブランド和牛を選ぶ
「個体識別番号を調べるのは面倒だな」という方は、メス牛限定のブランド和牛を選びましょう。
ブランド和牛の中で、以下のような牛がメス牛限定となっています。
- 松阪牛
- 米沢牛
- うねめ牛
- いずみ華姫牛
ブランドとして認められる定義の中で「未経産のメス牛限定」と定められているため、確実にメス牛を食べることができます。
しかしメス牛限定の牛を販売しているスーパーや精肉店が、近くにないという方もいるかもしれません。
そんな方のために、以下の記事で松阪牛や米沢牛を購入できる通販サイトを紹介しています。
→【専門店を徹底調査!】肉ギフトにオススメしたい肉の通販サイト6選
毎月ブランド和牛をお取り寄せしているわたしが選んだおすすめの通販サイトです。ぜひ一度のぞいてみてください。
米沢牛がおすすめ
メス牛限定のブランド和牛を紹介しましたが「どのブランドが1番おいしいんだろう…」と、決めかねている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
毎月ブランド牛をお取り寄せしているわたしがおすすめするのは「米沢牛」です。
米沢牛は未経産のメス牛限定に加えて、以下の定義があります。
生後月齢32ヶ月以上のもので公益社団法人日本食肉格付協会が定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れ ている枝肉とする。
出典:米沢牛銘柄推進協議会
米沢牛は出荷月齢32ヶ月という、長期肥育の牛しか認められません。
一般的に黒毛和牛の出荷月齢が平均25ヶ月〜28ヶ月といわれているため、米沢牛は平均より長く育てられます。
煮込み料理に時間をかければかけるほど、味が染み込んでおいしくなるように、牛も長い時間をかけて育てたほうが、旨みが凝縮され濃厚な味わいになります。
「贅沢として和牛を食べたいけど、どれがいいのかわからない」という方は、米沢牛を選べば間違いありません。
未経産のメス牛と32ヶ月以上の長期肥育という、おいしい和牛の条件が揃っています。
以下の記事では、実際に米沢牛を購入した感想を書いています。お試しセットで通常価格より1,200円引きで購入できます。
→【通常価格より1,200円OFF】肉屋で働く人が米沢牛焼肉用お試しセットを徹底レビュー
米沢牛を食べてみたい方は、ぜひ読んでみてください。
まとめ
メス牛がおいしい理由や見分ける方法について解説しました。
メス牛がおいしい理由まとめると
- 肉質がきめ細やかで柔らかい
- 不飽和脂肪酸が豊富でとろけるような味わいになる
- 脂がさっぱりしていて食べやすい
メス牛のなめらかな舌触りや、しつこくない脂は、オス牛にはない特徴です。
肉業界で仕事をして8年目になりますが「年を重ねるたびにロースが食べられなくなった」「和牛は脂ばかりでおいしくない」という声を、たくさん聞きました。
そんな方には、メス牛をおすすめします。メス牛の最大の魅力はさっぱりとした脂で食べやすいこと。
わたしが初めてメス牛を食べたときは、あまりの食べやすさに衝撃を受けました。
オス牛とメス牛を見た目で見分けるのは非常に難しいので、個体識別番号を調べるか、メス牛限定の和牛を選びましょう。
個人的におすすめなのは「米沢牛」です。
未経産のメス牛と32ヶ月以上の長期肥育という、おいしい和牛の条件が揃っています。
おいしい和牛をお探しの方は、ぜひ一度食べてみてください。
あなたもメス牛の虜になるはずです。