近年の赤身ブームで注目を浴びている褐毛和種。黒毛和種についで霜降りが入るため、赤身の旨みと脂の甘みを堪能できる和牛です。

しかし日本の和牛は圧倒的に黒毛和種の頭数が多く、世間ではまだまだ認知度が低いのが現状です。

ふみ
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そこでこの記事では、褐毛和種の魅力を余すことなくご紹介します。

おすすめなブランド和牛も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

この記事を読み終わる頃には、褐毛和種の持つ深い魅力の虜になっているはずです。

褐毛和種とは

褐毛和種とは赤褐色の毛色をしていて、日本で登録されている和牛の中で2番目に肥育頭数が多い牛です。

約170万頭の和牛が肥育されている中の約2万4千頭は褐毛和種が占めています。

「朝鮮赤牛」の遺伝子を最も多く受け継いでいる品種で、穏やかな性格と暑さや寒さに強い体が特徴です。

朝鮮赤牛は、朝鮮半島で飼育されている牛のこと。毛の色が褐色で黒い縦模様があり、韓牛とも呼ばれいて農作業の際に活用していました。

現在日本で飼育されている褐毛和種は、主に以下の2つの系統に分かれています。

  • シンメンタール種を交配した熊本系
  • 韓国種を交配した高知系

両系統ともに、黒毛和種より肥育期間が短く、約24ヶ月で出荷されます。

ふみ
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黒毛和種の平均出荷月齢は約28ヶ月です。

牛肉本来の風味が強く、適度にサシが入るため、濃厚な味わいが堪能できます。

「あか牛」「あか毛和牛」と表記されることもありますが、すべて褐毛和種に分類されます。

参考:全日本あか毛和牛協会

褐毛和種の特徴

褐毛和種は系統によって毛色や特徴が異なります。

褐毛和種の系統別の毛色は、以下のとおりです。

熊本系全身黄〜赤褐色
高知系橙褐色で角や蹄、目の周辺が黒色

毛色が違う理由は、それぞれ違う牛がルーツとなっているためです。熊本系は古くから飼育されていた、阿蘇牛や球磨牛をルーツとしています。

一方高知系は、明治時代に輸入された朝鮮牛がルーツです。別々に改良が進められる中、1944年に「褐毛和種」として統一されています。

熊本系は高知系に比べて体が大きく育ち、高知系は霜降りが入りやすいのが特徴です。

褐毛和種の歴史

褐毛和種の歴史は明治時代まで遡ります。

明治時代に飼育されていた朝鮮赤牛に、外来褐毛種であるシンメンタール種を交配させた牛が、現在の褐毛和種となっています。

それぞれの系統の交配した年は、以下のとおりです。

熊本系1907年に阿蘇地方の在来種に2頭のシンメンタール種を交配
高知系1906年〜1912年にかけてシンメンタール種を交配
参考:褐毛和種(あかげわしゅ) – 畜産Zoo鑑

その後改良が進められ、1944年に両系統ともに「褐毛和種」として登録されています。

近年は霜降り肉よりもヘルシーな赤身肉が好まれる傾向にあるため、さっぱり食べれて旨みが強い褐毛和種が注目を集めています。

褐毛和種の味わい

褐毛和種は微かに感じる脂の甘みと、牛肉本来の肉の旨みが魅力の和牛です。

黒毛和牛についで霜降りが入るため、程よい脂の甘みを感じられます。

しかし赤身のほうが強いので、口の中でとろけるような食感は期待できません。

さっぱり食べやすく、噛めば噛むほど溢れる濃厚な旨みを楽しみたい方におすすめの和牛です。

褐毛和種のブランド牛を紹介

ここでは以下の褐毛和種のブランド牛を紹介します。

  • くまもとあか牛
  • 土佐あかうし
  • すだち牛
  • はこだて和牛
  • いけだ牛

褐毛和種が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

くまもとあか牛

くまもとあか牛は、育つ期間が最長かつ、最終飼育場所が熊本県内である褐毛和種です。

阿蘇の清らかでミネラルが豊富な湧水を飲みながら、のびのびと育ちます。

平成30年には以下の特性が評価され、地理的表示(GI)保護制度に登録されています。

  • 赤身の特徴的な味わい
  • 牛肉らしい旨みや香り
  • 健康的なヘルシー

地理的表示(GI)保護制度とは以下のとおりです。

「地理的表示保護制度」は、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度です。

引用元:農林水産省

牛肉では、神戸ビーフや特産松阪牛、米沢牛などの11品目が登録されています。

くまもとあか牛として認められるためには、以下の定義をクリアしなければなりません。

  • 肉質等級2等級以上の褐毛和種
  • 12カ月以上肥育をした育つ期間が最長かつ、最終飼育場所が熊本県内
  • 去勢牛及び未経産雌牛

くまもとあか牛は、肉質等級2等級以上、脂肪交雑(BMS)No.5以下の基準が設けられている「阿蘇王」という銘柄も存在します。

ふみ
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等級と脂肪交雑については、こちらを参考にしてください→格付について

くまもとあか牛なら、赤身と脂のバランスが絶妙な褐毛和種を味わえます。

土佐あかうし  

土佐あかうしは、高知県の土佐で飼育されている褐毛和種。日本で唯一の高知系褐毛和種で、目の周囲やまつげ、鼻などが黒いことが特徴です。

熊本系よりもサシが入りやすい高知系は、旨みや甘みを感じるアミノ酸が豊富に含まれています。

赤身と旨みの絶妙なバランスを堪能できる和牛です。

程よい脂が入っているため、肉がパサつくこともありません。赤身の旨みを活かすローストビーフとしての調理がおすすめです。

すだち牛

すだち牛は、徳島県の鳴門市で育てられている褐毛和種です。

特徴は、徳島県の特産品である「すだち」を餌として与えていること。

すだちを与えることで、以下のような効果があります。

  • 牛に不足しがちなビタミンCを補う
  • 柑橘系の香りによるリラックス効果もある

柔らかくてしつこくない味わいは、鳴門自慢の一品です。

はこだて和牛

はこだて和牛とは、北海道函館の南西に位置する木古内町で、飼育されている褐毛和種です。木古内町の農家4軒で年間220頭ほど出荷されています。

平成27年には「あか毛和牛認定農場枝肉共進会」で最優秀賞を受賞。4軒の肥育農家が統一した厳格なルールを守り、品質の維持に努めています。

「健康的で安心できる牛肉」と評判のあか毛牛です。

いけだ牛

いけだ牛は、北海道の池田町で生産から出荷まで行われている褐毛和種です。

年間250頭ほどしか出荷していないため、北海道の特定の取引先にしか出回りません。

池田町の特産品である「十勝ワイン」を製造する際に発生するワイン澱(オリ)や、自家産乾草を与えて、風味豊かで柔らかい肉質を作り出します。

それぞれの農家が一貫肥育を採用しており、出生や出荷、加工まですべて行う安心安全な牛肉です。

くまもとあか牛がおすすめ

赤身は食べやすいけど「パサつきが気になる」「硬くて噛み切れなかった経験がある」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

そんな方には、くまもとあか牛がおすすめします。くまもとあか牛は、肉質等級2等級以上の牛でなければ認められないため、適度に霜降りも入る褐毛和種です。赤身のジューシーな肉汁と微かに感じる脂の甘みを堪能できます。

また阿蘇の山々に囲まれた広大な草原で放牧されているくまもとあか牛は、毎日3〜6km歩き、40〜50kgの草を食べて生活している和牛です。

しっかりと動くことで余分な脂肪がなくなり、身が引き締まった肉質となります。くまもとあか牛の赤身には、以下の旨み成分が多く含まれています。

  • グルタミン酸
  • イノシン酸

噛めば噛むほど溢れる旨みを堪能できるブランド和牛です。

赤身と脂のバランスが絶妙なくまもとあか牛。ぜひこの機会に味わってみてはいかがでしょうか。

くまもとあか牛の詳細はこちら

まとめ

今回は褐毛和種について解説しました。褐毛和種は近年の赤身肉ブームで注目を浴びている和牛です。褐毛和種の中でも、以下のように熊本系と高知系で特徴が異なります。

  • 熊本系は体が大きく全身が黄~赤褐色
  • 高知系はサシが入りやすく、角や目の周辺、蹄などが黒色

黒毛和種についでサシが入りやすい品種で、適度な霜降りと牛肉本来の旨みと風味が魅力の和牛です。

くまもとあか牛や土佐あかうし、いけだ牛などのブランド牛が生産されている褐毛和種。購入するなら、くまもとあか牛がおすすめです。

肉質等級2等級以上を定義としているくまもとあか牛は、微かな脂の甘みも堪能できます。

赤身と脂のバランスが良く、ヘルシーさも兼ね備えるくまもとあか牛を、ぜひ一度ぜひ味わってみてください。

くまもとあか牛の詳細はこちら

以下の記事では、精肉店で働くわたしがレビューしたブランド牛を紹介しています。

→ブランド和牛レビュー

美味しいブランド和牛をお探しの方は、ぜひ一度のぞいてみてください。

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